発表年月日 | 2022/11/13 |
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発表テーマ | 〈遠・中・近〉景のポエティクス ─自然と人間とを繋ぐ詩的想像力─ |
会議名 | 英語圏児童文学会第52回全国大会 |
主催者 | 英語圏児童文学会 |
開催地名 | 奈良女子大学 |
学会区分 | 全国学会 |
発表形式 | シンポジウム・ワークショップ パネル(指名) |
単独共同区分 | 単独 |
開催期間 | 2022/11/12 ~ 2022/11/13 |
概要 | 写真家であり、写真絵本作家・詩人でもある大竹英洋氏の作品には、大自然に息づく命の躍動や、ウィルダネス(原生自然)という、自然と乖離して暮らす都市生活者にとっての遠景を、読者の近景へと一気にひきこむダイナミズムがある。遠景と近景のあいだに横たわる中景――自然と人間との中間領域――に生きる人々の、遠景と近景を繋ぐ視点や生
き方も随所に示されているように感じる。論者は写真について知識がなく大竹氏の作品を専門的に評することはできないが、環境児童文学研究の論点に通じる、遠景と近景を繋ぐ際に媒介となる詩的想像力が、大竹氏の作品にも満ちていると考えている。 今回の話題提供では、こうした大竹氏の作品から読みとれるモチーフや表現方法のいく つかの点に照らして、現代イギリス児童文学作品を考えてみたい。フランス南部の大湿地 帯カマルグを舞台に、野生のフラミンゴをはじめ動物たちと心を通わせることのできる少 年と、彼を取り巻く人々の生きざまを描くマイケル・モーパーゴ(1943-)の『フラミン ゴ・ボーイ』(Flamingo Boy, 2018)、イギリスの人里離れた森の“wild”な環境で、自 然を熟知する父に育てられた少女が、あまりに遠く感じる都市ロンドンで、やはりあまり に遠くにしか感じられなかった母と再会しふたたび暮らしを共にする、Katya Balen(1989-)の October, October (2020)を扱いながら、原生自然と人間社会との中間 領域に生き、両者間の軋轢に翻弄されながらも、自然と共に生きること、自らの内に息づ く自然とも共に生きることを模索する登場人物たちの生きざまを考える。 |